安全で効率的な送迎のために必要なこと
複数の高齢者を送迎するには、様々な配慮と準備が必要です。利用者にも家族にも安心して利用してもらうためには、具体的にどういったことを考えておかなければならないのでしょうか。
ルート決定と時間設定
デイサービスなどの送迎は複数の利用者の自宅を回ることになりますので、効率的に行うための準備が必要です。どんな順番でピックアップしていくのかを決めるのは単純で簡単なことのように思えますが、高齢者の送迎においては考慮しなければならないことが多いので、実は時間がかかり骨の折れる作業のようです。
利用者の中には、自力で車の座席に乗ることができる人もいますが、介護者が移動をサポートしなければならない場合もあります。こういった際に、どうしても行動範囲が限定されてしまう車内で安全に介助ができるように、乗車の順番を早めにしておくなどの対策が必要になるのです。また、車椅子のまま乗車しなければならない人がいる場合にはリフト付きの車両が必要になるので、どのルートでどの車両を使用するのかのスケジュールも組まなければなりません。
上記のような事情に加え、利用者やその家族の希望時間も考慮しなければなりません。普段自宅で介護にあたっている家族の仕事の時間に合わせてほしい、利用者が通所を楽しみにしているのでなるべく早めに迎えにきてほしいなど、様々な要望になるべく添えるような時間を設定します。
どんなスタッフが必要か
送迎にはもちろんドライバーが必要ですが、ドライバー自身が介護の資格を持っていたり、乗車する利用者が必要とするサポートが軽度であるなど安全面が確保できる場合を除いて、他の介護職員が同乗します。利用者の自宅へ着いたら車を停め、ドライバーが待機している間に他の職員が迎えにいきます。基本的には玄関から送迎車に安全に乗ることができるように見守りや介助を行い、乗車中の安全確認や体調管理などにも留意します。利用者の状況によってはベッドからの介助が必要だったり、車内でも他の利用者とは異なる対応をとらなければならない場合もあるため、これに伴って適切な資格を持った職員が必要になることもあります。
事前説明がポイント
送迎スケジュールを決定することによって、どの利用者宅へどのくらいの時間に着くのかをある程度把握することはできますが、1分1秒の誤差もないわけではありません。朝の渋滞に巻き込まれたり、近くで起こった事故の影響を受けたりしないともかぎりません。利用者の気持ちや状態、家族の仕事の事情などでそれぞれ希望の時間を申告されていますが、交通状況によっては少し遅れることがあると事前に説明しておくことが大切です。
せっかく様々な事情や心情を考慮して組まれたスケジュールであっても、待たせて怒りを買ったり不安な思いをさせてしまうのならば、本来の目的とは遠いものになってしまいます。
送迎する側もされる側も嬉しい新しいサービス
単純に見えて実は複雑な送迎のスケジュール作成は、ベテランの職員でも1時間はかかる難しい作業だそうです。人手不足が叫ばれる中、こういった職員の負担を減らすために画期的なサービスが誕生しました。
パナソニックは、人工知能を使って効率的な送迎スケジュールを組むことができるシステムを開発し、2018年6月より介護事業者向けに提供を始めました。利用者の住所データはもちろん、上記で紹介したような車椅子利用の有無の他、友人関係にまで配慮した適切なスケジュールを10分程度で作成できるという、介護職員にとっても利用者にとってもメリットのある配車システムです。施設の規模により異なりますが、1拠点につき月額7,500円から利用できるので、送迎スケジュールの作成に悩んでいる施設にとっては費用対効果の高いサービスと言えるでしょう。